医療・福祉関係の方へ

 行政書士は、街の法律家と呼ばれ、町のお医者さんと同様の役割を期待されていますが、実際には行政書士が何をしているのかご存じない方が少なくありません。何をしているかわからないため敷居が高く、なじみ深さではお医者さんに遠く及ばないのが実情です。
 ケアプランには医療・福祉関係以外の社会的資源も組み込むことが推奨されていますが、被後見人などの例をのぞき、権利・義務を守るために法律関係者が載せられているケアプランは拝見したことがありません。私も、自身で作成したケアプランにそのようなサービスを明記したことはありませんでした。

 しかし今後は、急激な超高齢社会を迎え、後見までは必要ないけれども何らかの手助けを必要とする、いわゆるフレイルの状態にある方が増えるのではないかと想像します。多くはありませんが、視力や体力あるいは判断力の衰え等によって、くらしの中の色々な手続きが難しくなり、困惑されている方をお見受けすることがありました。また、長期の入院が決まり、身寄りもないため留守中の管理方法に悩まれる方もいらしゃいました。現状ではこのような場合、多くの福祉関係者の方の隠れた努力によって解決が図られていることが多いのではないかと思います。ただ、そのリスクの高さに悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 法律に関する国家資格者である行政書士は、弁護士に比べて数が多く、しかも不在地域が少ないことから、法律に関する町のお医者さんとしてもっと活躍できる余地があると思います。まず、問題自体が生じることを防ぐ、予防司法の役割を果たすことができます。問題が発生した場合にも、これを診断し、専門性の高い案件であれば弁護士や税理士などを紹介することが可能です。何より、個人的に行政書士と馴染みのある利用者の方が増えれば、いわゆるオレオレ詐欺が流行するなどという異常事態に対する、有効な対策となるのではないかと考えます。

 課題は、町のお医者さんには医療保険制度という安定したビジネスモデルが既にあり、収益をあげて事業を継続していくことができるのに対して、保険制度がない分野では、ビジネスモデル自体の模索から始める必要があるということです。逆に、ビジネスモデルが成立した場合には、行政書士のみならず他の色々な専門家が参入することが予想され、より安全で豊かな超高齢社会を築くことができるのではないでしょうか。

 ビジネスモデルなどというと壮大ですが、当事務所は個人事務所であり、実際にできることには限度があります。しかし、小さな試みではありますが、色々な試みを行っていきたいと考えます。必要性がある利用者の方がいらっしゃる場合には、是非ご相談いただき、ご遠慮なく担当者会議にお呼びください。

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