定年後、老後のお伴に猫を飼う。場合の注意①。

猫を飼うときの注意事項をまとめてみました。 くらし

 一人暮らしや夫婦だけの生活を続けていると、ふと、猫を飼いたくなる時があるのではないでしょうか。とくに、歳を重ねて外出の機会が減ると、そう思うことが増えるかもしれません。猫に限らず、動物がいてくれると、本当に癒やされることがありますよね。
 でも、人が歳を重ねてから猫を飼う場合、いろいろと心づもりしておかなければいけないことがあります。とりわけ、今までペットを飼ったことがない方には、事前に知っておかれたほうが良さそうなことがあります。

  そこで、猫の問題に最前線で取り組む、動物愛護センターの方に直接お伺いしたうえで、

 一 飼う前に、考えなければいけないこと
 二 飼える? 飼えない? 決める前に知っておくとよいこと。
 三 買うときに、気をつけなければいけないこと。
 四 飼い始めたら、必ずしなければいけないこと

  をまとめてみました。

この記事が、猫と気持ちいい時間を過ごすためのご参考になれば幸いです。
(この記事は、四部構成のうちの一番目の記事です。)

一 飼う前に、考えなければいけないこと。

1 猫の寿命を考える。
 最期まできちんと面倒を見てあげられるか判断するためには、猫の寿命をおさえておく必要があるでしょう。環境省によると、猫の平均寿命は15.66歳とされています。長生きしてくれたとしたら、20年近く一緒に暮らすことになります。日本人の平均寿命は、男性が81.47歳、女性が87.57歳ですから、定年退職後からペットを買い始める場合は、どちらの寿命が先に来るか、ちょっと心配になる数字ですね。
 それに、猫も飼い主も、仲良く一緒に歳をとるわけですから、どちらも、暮らし始めたときのようには体が動かなくなることが通常でしょう。猫の重介護が必要になったり(赤ちゃん猫も、20年後は96歳!)、飼い主のほうが病院や施設に入ることになったりして、飼えなくなってしまう可能性も十分にあります。
 20年後にお互いがどうなっているのか想像もつかない以上、飼う前に、飼えなくなった時のことを考えておくことが必要となりそうです。

 ちなみに、動物愛護センターでは、原則として65歳以上の方で次の預け先が明確ではない方には、子猫の譲渡は行っていないそうです。

2 飼い主の寿命を考える。
 飼い主にも寿命があることを忘れて飼い始めてしまった場合の、二つのパターンを考えてみましょう。

・ 飼い主の寿命が先に来てしまった場合。
 猫は、相続の対象となりますから、相続人が飼えるかどうかの問題となります。飼えない場合には、 動物愛護センターに「使用放棄届」を提出して、一匹4,000円で引き取っていただくことになります。動物愛護センターでは殺処分が原則。殺処分後は、焼却後に廃棄物として処理されます。
 もっとも、動物愛護センターでは、依頼があった場合でも直ぐには引き取らないそうです。引き取る前に動物愛護団体への相談など、引き取り手を探してもらったうえで、見つからなかった場合のみ引き取るとのことでした。
 とすると、相続人の方がペットの飼育禁止のマンションなどに住んでいる場合は、重い負担をかけることになりますね。
 相続人が不明の場合には、可能な範囲で相続人を探す必要が生じます。飼い主が賃貸物件に住んでいた場合などで、居住者失踪の場合には貸主に住居内の失踪者所有物の所有権が譲渡される契約がなされている場合には、貸主に使用放棄届を提出していただいくこともあるそうです。

・ 飼い主が飼えなくなってしまった、あるいは飼いきれなくなってしまった場合。
 この場合も、基本的には動物愛護センターに「使用放棄届」を提出して、処分をお願いすることになります。飼い主が、高次脳機能障害や認知症などで、届け出困難な場合には、後見人の方が提出することになります。
 なお、猫を捨ててしまった場合、「動物の愛護及び管理に関する法律(通称、動物愛護法)」により、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金という、重い罰則が科されます。

 いずれにしても、長く一緒にいてくれたのに殺処分にされてしまうのは、どうにもやるせないですよね。そうなってしまわないように、飼う前に事前に対策を考えるのは、飼い主の責任だと思います。

3 お金のことを考える。
 いきなり世知辛い話になってしまいますが、お金の問題は避けて通れません。
 猫を飼うための平均支出額は、医療費も含め1匹あたり一月に平均6,236円だそうです。そして、猫も歳を重ねれば病院にお世話になる機会も増えます。当然、猫の治療費に保険はききませんから、場合によっては高額の出費も覚悟する必要があります。年金生活を送っている方にとって、不意な急の出費は頭の痛い問題のはずです。また、猫が天寿を全うする前の医療や、お葬式や納骨にかかる費用も考えておく必要があります。
 これら医療や介護にかかわる費用だけでなく、飼い主が旅行したくなった際には、シッター代などもかかる場合があります。
 猫を最期まで看取ってあげる資力があるか、慎重に見極める必要があるといえるでしょう。

 なお、この見極めをせずに飼育困難になってしまった場合、前述の動物愛護法で虐待と認定される可能性があります。認定された場合、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処されます。

4 外猫としてなら、大丈夫?
 自宅では猫を飼えないため、なついてくれたノラ猫を、外猫のように飼うことを検討している方もいるかもしれません。あるいは既に、かわいそうで、ついつい習慣的に餌をあげてしまっている方もいるかもしれません。
 この場合、たとえ自宅で飼っていなかったとしても、飼い主としての責任が問われる可能性があることに注意が必要です。
 例えば、そのノラ猫が近所の方の庭を汚してしまったような場合、損害賠償請求をされる可能性があるということです。

 人が集まっている地域と、ほとんど畑しかないような地域では、当然状況が変わりますが、そのような裁判例があったことは、覚えておいたほうがよいと思います。

5 まとめ
 いかがでしょうか。これらのことを考慮し、まずは飼えるかどうか判断していただくと良いのではないでしょうか。
 その上で、飼うか、飼わないか、を決める前に知っておくとよいこと、をこちら(定年後、老後のお伴に猫を飼う。場合の注意②)にまとめましたので、合わせてご検討いただくと良いのではないかと思います。
 どうぞ、ご活用ください。

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